子どもたちに保育の質を確保するため補助金削減の中止を求める声明
3月25日の京都市議会で、民間保育園の補助金の削減を含む令和4年度予算可決されました。今回の補助金の削減により、保育の質の低下を招き、子どもたちに悪影響を与える恐れがあるため、保護者としても容認できません。
今回の決定について、京都市保育園保護者会連合協議会として以下の声明を発表します。
子どもたちに保育の質を確保するため補助金削減の中止を求める声明
京都市は令和4年度から民間の保育園に対する補助金の削減を進めることを決めました。総額は約13億円、約80%の保育園が削減対象となり、2~3000万円を超える削減となる園も少なくありません。
保育制度に対する私たち保護者の願いは、大きく分ければ、保育園に入れること、安心できる保育の質の確保、経済的な負担の軽減の3点です。これらの願いは、保護者の置かれた立場によって優先度が変わりうるものですが、なかでも子どもの日々の生活に関わる「保育の質の確保」は最も重要であり、子どもたちが保育園で健やかに成長できることは、保護者にとって一番の願いです。そして、日々の生活を通じて最も影響を受ける子どもたちは、自分から声を上げることはできません。
今回の補助金の削減は、例えば2000万円の削減となる園では4、5人分の保育士の給与が無くなってしまうほどの大きな影響があります。日々献身的に子どもたちの健やかな成長を支えてくださる保育園の先生方に対して、京都市がどうしてこのような対応されるのか保護者として全く理解ができません。保育園の先生方はコロナ禍でも感染リスクの不安を抱えながら、子どもたちの健やか成長と保護者の就労を支えてくれました。
また、特にベテランの先生が多い保育園ほど減額が大きくなります。ベテランの先生方は子育て経験のある方も多く、保護者としていろんな相談ができる、かけがえのない本当に頼れる存在です。今回の補助金の削減はベテランの先生方の存在を軽視するもので、保護者として全く賛同できません。若手の先生たちもこれまでのような昇給の見込みがなくなり、早期退職を選択するようになれば、将来に向けても質の高い保育が失われていくことになります。
さらに、補助金の削減によって、給食の質が下がったり、アレルギー対応が難しくなったり、保育士の余裕が無くなり障害児保育の受け入れが難しくなったりするなど、ほかにも様々な影響が考えられます。
保育学の研究では、保育の質は先生たちの労働条件に左右されると言われています。今回の補助金削減は京都市が実施する公的保育の質の低下を招き、子どもたちに悪影響を及ぼします。しかしながら、京都市から保護者への説明は一切ありません。
私たち保護者は、京都市に対して、令和4年度からの補助金の削減を中止することを強く求めるとともに、保育園の先生たちが将来に亘り安心して働き続けられるように、昇給を保障する仕組みを作ることを求めます。
2022年3月31日
京都市保育園保護者会連合協議会
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市保連オンライン講演会「考えてみませんか?子どもが大事にされる社会のこと」
市保連は2月6日(日)14時からオンライン講演会「考えてみませんか?子どもが大事にされる社会のこと」を開催しました。コロナ禍で注目を集める「ケア」の重要性について、政治学とフェミニズムを専門とする研究者である岡野八代さんをお迎えして、保育や子育て、そして子どもが大事にされる社会について考えました。
第一部の岡野八代さんの講演「なぜ、子どもが大切にされない社会になっているのか?」では、「子どもを大事にする」といっても「なぜ」「なんのため」を問うことが大事であるとして、歴史的に国家は国に貢献する子ども像を描き、同時に子どものケアを家庭、特に女性に押し付けてきたが、子どもを大事にするのは「子ども自身のため」であるべきで、国自身が子どものための予算を増やすべきであるとのお話がありました。
第二部は3人の保護者のスピーチです。うち2人は保育制度の影響を公私で受ける子育て中の保育士(保育士保護者)にお願いしました。
保育士であり母である荒堀さんからは、保育士として保護者には子どものためにして欲しいことを伝えてきたが、保護者になりその苦労がわかったこと、保育士としては子ども生活を保護者と共有したいが、保護者としての自分は余裕のない生活を送っていること、保育士としては保護者同士の繋がりが大切だと思うが、実際に繋がりを作るのは意外に難しいことなど、保育士と保護者と両面から見えてくる保育を巡る状況についてお話がありました。
保育士であり父である林さんからは、家でわが子と過ごす時間よりも、保育園の子どもたちと過ごす時間が長く、家でも保育園での保育について考える時間が長いことや、自分の子どもの保育参観や行事には参加できないことがあること、このコロナ禍では、わが子を感染リスクの高い保育園に預けて、自分も感染リスクの高い職場に出勤していること、女性の低賃金という社会構造がある中で、生活設計のことを考えると男性保育士が辞めざるを得なくなることなど、保育士保護者、男性保育士としての葛藤についてお話がありました。
最後に福山型先天性筋ジストロフィーの長女を育てる母である佐井さんからは、長女が2歳のときにいくつも民間の保育園から入園を断られる経験をして、公立保育所だけが長女の「存在」を受け入れてくれたこと、公立保育所では子どもたちが長女を「普通」に迎え入れ、車椅子で行けないところがあると、どうしたらいいかみんなで考えてくれたエピソード、卒園後の放課後デイサービスは車椅子では入れないところが多いこと、国や行政により障害児や病児は「居ないこと」にされ、居場所を見つけるだけで大変苦労するシステムになっていること、保育所の入所ポイント制では就労よりも介護が低く設定されていることなど、障害のある子どもを育てることで直面する社会の姿勢や困難さについてお話がありました。
第3部では岡野さんから保護者のスピーチを踏まえて、ケアは身体的な「活動」だけではなく特定の個人のニーズに応える「営み」であり、よりよい関係を目指す「実践」でもあることや、ケアの与え手と受け手が対等な関係にはないケア労働の特殊性、こうした特殊性から資本主義の論理ではケアを正当に評価できないこと、しかし、政治や経済はこうしたケアにこそ倣うべきで、誰しもが安心してケアし・ケアされる関係性を支える政治を求めていくことが大事であるとのお話がありました。
こんなに子育てが大変なのは保護者の自己責任ではないということがよく理解できたという田中会長からの閉会挨拶もあり、保育や子育てといったケアを大切にする政治を実現していくために、市保連としても今後も保護者の声を集め、発信していきたいとあらためて確認することができた講演会となりました。
京都市へ要望書、京都市議会へ陳情書を提出しました!
2月15日に数名の保護者で、京都市へ要望書を、京都市議会へ陳情書を提出してきました。要望書は、例年、京都市と市保連で懇談の機会を設けており、その前に提出しております。例年同様、保育環境の向上を求めるものに加え、今年度は、相次ぐ休園や登園自粛への対応を求める内容を盛り込みました。陳情書については、2月3月議会に向けて、市保連に加え2つの保育園保護者会(有志)から提出されました。内容は、今後の保育料値上げをしないように求めるものと、保育料も含めた子育て・保育施策の決定過程に子育て世帯の意見を反映する仕組みを設けてほしいというものを盛り込みました。議会事務局に提出したのちに、教育福祉委員会に所属される全会派の議員を回らせていただき、要望や陳情についての内容説明や新型コロナウィルスの感染拡大が長期化する中での子育て世帯の生活状況についてのお話を聞いていただきました。ぜひ今後もこのような機会をもうけたいと思いますので、陳情を出していただける保護者(会・個人や有志でも可能です)や一緒に活動に参加していただける保護者の方、ぜひお声がけください。
今回、一緒に回っていただいた保護者の方に感想を寄せていただきました。
私自身、人生で初めて市議会に提出する陳情書を作成しました。一市民として、困っている時、声を挙げていく手段として、このような形があるのだとちょうど最近知ったところでした。会派回りをして、直接市議会議員さんともお話が出来ました。議員さんにより、様々な受け入れ方がありましたが、私からも意見を投げかけさせていただきました。
「自営業の保護者で、突然子どもの通う保育園が休園となり、仕事を休まざるを得ない時に対して国や自治体からの保障がないので収入が減り困っている保護者は多いのではないか。(私自身も含め)私自身、ピアノ教室をしているので生徒さん側も休園、学級閉鎖等でお休みが相次ぎ、その面でも収入は減っている状況です。休園の際も安心して仕事を休めるよう保障を考えていただくか、休園の際も子どもを安心して預けれる代替保育制度を考えて欲しい」というの内容です。
ある会派の議員さんが、「国から打ち出されている助成金制度で保障が適用出来るかもしれないからこちらに問い合わせてみはったらどうでしょう」と、資料をくださりました。顔を向き合わせてお話しする事で、親身に聞いて下さったのだと感じました。文章の受け取りだけでは伝わらない、生の声を、こうして直接お伝えに伺えることはとても貴重な機会で大切だなと思いました。声を挙げていく手段としてこういった形があることを、もっと沢山の方に知ってもらいたいなと感じました。子育てをする親として、本当に困窮されている保護者の方の声を、もっと拾えるようこれからも模索していきたく思います。
陳情・要望書の内容を会議でしっかり検討して頂ける事を切に願っております。ありがとうございました。
京都市における保育料を値上げしないように求める陳情書(2202)
市保連講演会企画「考えてみませんか? 〝 子どもが大事にされる社会 〟のこと」
長引くコロナ禍で、子どもも大人も疲れが出ていることと思います。またその前から、子育てと仕事の両立の大変さは多くの方が実感されてきたことだと思います。国も京都市も、政治家も識者も「子どもを大事にする」ということを口にしますが、本当の意味で子どもが大事にされるとはどういうことなのか???今一度、皆さんと一緒に立ち止まって考えてみたく、学習会を企画しました。多くの方の参加をお待ちしております!
日時;2月6日(日)14:00〜16:00
講演; 岡野 八代 さん(同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教員)
プログラム:・岡野八代さん講演
・京都市の保育をめぐる現状と課題についての報告
・ディスカッション
会場;オンライン(ZOOM)開催
・下記のIDをZoomに入力してください。
Zoom ID : 862 0695 1355
QRコードからもアクセスできます。
市保連会長談話「今回の保育料値上げ見送りという決定について」
本日(2021年11月30日)、京都市会本会議において、門川市長が来年度の保育料値上げを見送るという方針を明らかにしました。京都市保育園保護者会連合協議会(市保連)としては、この間、保護者という立場から、保育料に関する調査を実施し、京都市会への陳情や京都市への要望書の提出をおこなってきました。つきましては、今回の保育料値上げ見送りという決定について、以下のコメントを発表します。
次年度の保育料値上げの見送りは、保護者や関係者の声が届いた成果であり、とても嬉しく思っています。
来年4月の入所を申し込まれた子育て世帯の方々のなかには、保育料次第では入所を断念せざるを得ないと心配されていた方も多いのではないでしょうか。ひとまず生活の見通しが立ち、胸をなで下ろされていることと思います。
しかしながら、先日市保連が実施した調査では、現行保育料においても、保育料を捻出するために子育て世帯の家計に様々な負担が生じていることが明らかになりました。
保育料は家計の負担能力に応じて負担するという原則がありますが、多くの世帯が家のローンや水光熱費などのライフライン、食費や医療費などの絶対的に必要な支出まで抑制せざるを得ないという経験されていることを考えると、適度な支出とは言えない状況ではないでしょうか。市保連の調査においても、保育料のあり方によって、出産子ども数や保護者の就労、居住地など、影響が多岐に及ぶ問題であることが明らかになっています。
保育料の決定は公共政策であり、財源をめぐる議論だけではなく、その影響が市民生活にどのように及ぶのか、科学的な根拠をもとにそのあり方が提起されるべきであり、その科学的な根拠を収集し、提示するのも行政の責任です。あらゆる政策の形成過程に当事者の参加が不可欠とされる現在において、保育料の決定プロセスに、子育て世帯の声を十分に反映させる仕組みをつくることが求められています。
今回の保育料値上げの見送りをきっかけに、改めて子どもを大事にする社会とは何かということについて、広く議論を呼びかけていきたいと思います。
京都市保育園保護者会連合協議会(市保連)
会長 田中智子
市保連「京都市の子育て世帯における 保育料・保育内容に 関する意識調査」結果について
市保連では、京都市から保育料・保育内容の変容の提案を受け、京都市の子育て世帯の意識調査を行いました。その結果、165人の方から回答をいただきました。お忙しい中、調査にご回答いただいた皆さま、ありがとうございました。調査結果からは、子育て世帯において保育料を捻出するために多くの生活場面に影響がでていること、今後の保育料の値上げについては多くの人が不安を抱いていることが明らかになりました。また、子育て世帯にとって、保育施設は単なる預かり施設ではなく、子どもの育ちを保障するとともに親にとっても子育ての相談ができる場であったり、繋がりができたりと、社会的な有用性を感じていることも明らかになりました。今後は寄せていただいた声を、京都市や関係者に届けていきたいと思います。
【ダイジェスト版】京都市の子育て世帯における 保育料・保育内容に 関する意識調査PDF
京都市の子育て世帯における 保育料・保育内容に 関する意識調査 (一部修正)PDF
京都市に陳情書を提出しましょう!
市保連では現在、京都市が進めている行財政改革によって、子育て世帯の負担となる保育料の増加、子どもたちを取り巻く保育環境の低下が起らないように京都市議会宛に陳情書を提出しました。今後の市議会で保育料に関わる議論などが進められることが予想されますので、ぜひ多くの保護者・保護者会から意見を届けて欲しいと思います。陳情書の書き方・提出等については、市保連でも相談に乗りますので、ぜひご検討ください。
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