市保連オンライン講演会「考えてみませんか?子どもが大事にされる社会のこと」

市保連は2月6日(日)14時からオンライン講演会「考えてみませんか?子どもが大事にされる社会のこと」を開催しました。コロナ禍で注目を集める「ケア」の重要性について、政治学とフェミニズムを専門とする研究者である岡野八代さんをお迎えして、保育や子育て、そして子どもが大事にされる社会について考えました。

第一部の岡野八代さんの講演「なぜ、子どもが大切にされない社会になっているのか?」では、「子どもを大事にする」といっても「なぜ」「なんのため」を問うことが大事であるとして、歴史的に国家は国に貢献する子ども像を描き、同時に子どものケアを家庭、特に女性に押し付けてきたが、子どもを大事にするのは「子ども自身のため」であるべきで、国自身が子どものための予算を増やすべきであるとのお話がありました。

第二部は3人の保護者のスピーチです。うち2人は保育制度の影響を公私で受ける子育て中の保育士(保育士保護者)にお願いしました。

保育士であり母である荒堀さんからは、保育士として保護者には子どものためにして欲しいことを伝えてきたが、保護者になりその苦労がわかったこと、保育士としては子ども生活を保護者と共有したいが、保護者としての自分は余裕のない生活を送っていること、保育士としては保護者同士の繋がりが大切だと思うが、実際に繋がりを作るのは意外に難しいことなど、保育士と保護者と両面から見えてくる保育を巡る状況についてお話がありました。

保育士であり父である林さんからは、家でわが子と過ごす時間よりも、保育園の子どもたちと過ごす時間が長く、家でも保育園での保育について考える時間が長いことや、自分の子どもの保育参観や行事には参加できないことがあること、このコロナ禍では、わが子を感染リスクの高い保育園に預けて、自分も感染リスクの高い職場に出勤していること、女性の低賃金という社会構造がある中で、生活設計のことを考えると男性保育士が辞めざるを得なくなることなど、保育士保護者、男性保育士としての葛藤についてお話がありました。

最後に福山型先天性筋ジストロフィーの長女を育てる母である佐井さんからは、長女が2歳のときにいくつも民間の保育園から入園を断られる経験をして、公立保育所だけが長女の「存在」を受け入れてくれたこと、公立保育所では子どもたちが長女を「普通」に迎え入れ、車椅子で行けないところがあると、どうしたらいいかみんなで考えてくれたエピソード、卒園後の放課後デイサービスは車椅子では入れないところが多いこと、国や行政により障害児や病児は「居ないこと」にされ、居場所を見つけるだけで大変苦労するシステムになっていること、保育所の入所ポイント制では就労よりも介護が低く設定されていることなど、障害のある子どもを育てることで直面する社会の姿勢や困難さについてお話がありました。

第3部では岡野さんから保護者のスピーチを踏まえて、ケアは身体的な「活動」だけではなく特定の個人のニーズに応える「営み」であり、よりよい関係を目指す「実践」でもあることや、ケアの与え手と受け手が対等な関係にはないケア労働の特殊性、こうした特殊性から資本主義の論理ではケアを正当に評価できないこと、しかし、政治や経済はこうしたケアにこそ倣うべきで、誰しもが安心してケアし・ケアされる関係性を支える政治を求めていくことが大事であるとのお話がありました。

こんなに子育てが大変なのは保護者の自己責任ではないということがよく理解できたという田中会長からの閉会挨拶もあり、保育や子育てといったケアを大切にする政治を実現していくために、市保連としても今後も保護者の声を集め、発信していきたいとあらためて確認することができた講演会となりました。

岡野先生のスライド資料PDF

荒堀さんスピーチ原稿.pdf

林さんスピーチ原稿.pdf

佐井さんスピーチ原稿.pdf

カテゴリー: 未分類 — yosukesan 9:32 PM